大山 くららさん

愛媛大学附属高等学校
教員

※本インタビューは、2021年3月に行ったものです。

途上国での経験を次世代に伝え、
国際協力への思いをつなぐ

2017年 大学院国際協力研究科(IDEC)博士課程前期修了

プロフィール:2015長崎ウエスレヤン大学(現:鎮西学院大学)現代社会学部卒業。2017年広島大学大学院国際協力研究科博士課程前期修了。神奈川県の高校教員を経て、現職。

本インタビューは…2021年3月に行ったもので、所属先はその時点のものです。

グローバルな環境で過ごした充実の2年間

 学部時代、タイやカンボジアへのスタディツアーに参加し、貧困社会や日本より遅れた教育を見たことがきっかけで国際協力に興味を持つように。教職課程を履修していたため、教育分野で国際社会に貢献したいと考えました。そこで、広島大学大学院国際協力研究科(現国際教育開発プログラム)へ進学。「大学院に行くなら2年間」と決めていたので、研究はもちろん、インターンシップやティーチングアシスタント(TA)、NPOの活動、地元農家のお手伝いなど、限られた時間でできることには何でも挑戦しました。

アンコールワットと大山さん


 研究では、カンボジア農村部での教育復興を題材に、現地の小学校を回ってインタビューを実施しました。各地に戦争の名残があり、衝撃を受けたことを今でも覚えています。大学院で専門的に学んでから臨んだおかげで、学部の時は見えてこなかった課題にも気付くことができました。

 国際協力研究科の授業は、すべてが新鮮で刺激的でした。各国から集まる留学生とプレゼンテーションをしたり、JICA関連の研修を見学し、関係者の話を聞いたり。私の所属していた研究室はムスリムの学生が多かったので、日常的な異文化体験もできました。大学院在学中にカンボジアを訪れたのは、短期留学の2週間と研究のフィールドワークに訪れた1カ月間だけでしたが、日本にいても世界を肌で感じられるグローバルな環境でした。

子どもたちの国際教育への関心を育てる

 大学院で学ぶ中で、そのまま研究を続けることも検討しました。しかし、次世代を担う子どもたちに自分の経験や学びを伝えることが、国際社会への自分なりの貢献につながると考え、教員の道へ進みました。現在は高校の英語教員として勤務し、授業以外に学校の留学プログラムや吹奏楽部の顧問も担当しています。

地 雷


 英語教員で欧米に行ったことがある人はいても、途上国の研究をしていた人はなかなかいません。生徒たちに体験談を語って驚きや学びをもたらすのは自分にしかできないことだと感じ、やりがいをもって業務に取り組んでいます。前任校では、大学院での経験やつながりを生かしてカンボジアへのスタディツアーも企画しました。

スタディツアーのような途上国のリアルに触れられる機会は、重要な学びの場です。例えば、日本で途上国の話を聞くと「かわいそう」という感想に終始してしまうことが多いですが、現地に行くと、途上国の人々が戦争や社会環境を乗り越えてたくましく生活していることが分かります。生徒たちには、彼らのありのままの姿を見てもらい、「自分たちに何ができるのか」「途上国の人が本当に求めている支援は何なのか」を考えてほしいです。途上国の現状を伝えることは、やがて生徒たちの関心や進路の選択肢を広げることにもつながります。いずれは自分の教え子から国際協力の仕事を志す人が出てくるとうれしいです。

 
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